【現在】障害者サテライトオフィス


 法定雇用率を達成しなければならないが、雇用した障害者の教育、配慮にはあまり時間と労力をかけたくない。残念ながら、そんなニーズを持っている事業所というのは少なからず存在する。今までにも書いてきたように、業務設計、雇用された障害者の教育を派遣労働者、外注業者に委ねたり、下請け会社に出向させるといった丸投げを行う企業は確かにあった。しかし、今年度に入り、雇われた企業から委託金を受け取り、障害者の雇用を代行するというサービスが合法的に行うことができるということはあまり知られていない。

 障害者サテライトオフィスは、人材系のビジネスを行う企業がオフィスを構えて、そこで契約した企業と雇用契約を結んだ障害者のマネジメントを業者が一切請け負うという対企業サービスである。業務の切り出しを行うのは依頼主である企業だが、障害者のマネジメント等は、契約先の人材会社が行う。以前は、本来契約した会社以外の会社が指揮系統になるため責任の所在が曖昧になるため、グレーなやり方とされてきたが、厚生労働省が2018年1月10日付で 障害者のサテライトオフィス勤務導入推進事業の入札公告を出し、事実上 サテライトオフィス勤務という形態にGOサインを出すことになった。

https://www.mhlw.go.jp/sinsei/chotatu/chotatu/wto-kobetu/2018/01/wt0110-02.html

 すでにいくつかの人材会社が今年度に入ってから厚生労働省の事業委託を受けており、障害者サテライトオフィスは企業が雇った障害者の預り所のような役割を果たしている。まだ障害者水増し雇用問題が明るみに出る前の話であり、どんな手を使ってでも雇用率達成企業を増やそうとした厚生労働省と障害者雇用にかかる時間と手間をできるだけ省略して雇用率を達成しようとする一部の事業所側のニーズがうまくかみ合った形である。

 この事業により、障害者側に大きな不利益が生じる訳ではない。サテライトオフィスに出向したからと言って、雇用条件が下がる訳ではないし、与えられる業務内容にそれほど違いがある訳ではないだろう。サテライトオフィスサービスを利用している事業所側にしてみれば、「別に、誰に迷惑をかけている訳ではないだろ?」ということになるだろう。

 しかし、それでも筆者からすると、「これでは、雇用された障害者は法定雇用率を達成するための数字、道具でしかないのではないか?」という疑問は拭えない。労働参加という観点からすれば、多少時間や労力がかかったとしても、その事業所に不健全、不健康を抱えた人が包摂できるように試行錯誤を行っていくことに、労働参加の意味があるからである。

 障害者雇用水増し問題の陰に隠れてしまい、あまり論争にならなかったのは痛いところだが、少しこの新手のビジネスについては情報収集しておくことにしよう。

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